6/11(木)一般質問に立ちました

6/11(木)に一般質問に立ちました。これから要約したチラシを作成する予定ですが、とり急ぎ、テキスト版として、一般質問の原稿全文を掲載いたします。動画も後日、アップいたします。

【一般質問全文】

 はじめに「世田谷区としての保健・福祉政策について」伺います。

 今般の新型コロナウイルス感染症における世田谷区内の状況は、昨日6月10日の時点で、検査陽性者数454名、死亡者数16名です。

 お亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、今なお新型コロナウイルス感染症と闘っておられる皆様の一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

 この感染症は、罹患された方のみならず、学校の休校や外出自粛など、子どもから大人まで、私たち全ての区民の生活のあらゆる面において、様々な影響を及ぼしています。

緊急事態宣言による外出自粛要請が行われる中、5月11日、区長は朝日新聞社の言論サイトである「論座」において、対談を行っています。

区長は、対談で次のように発言されています。

「『無駄』なものはどんどん統合して数を減らせばいい、それが世の中の流れであり、正しい改革なんだという言説が一時期、非常に力を持ちましたよね。それに対する反論をあざ笑うようにして保健所の統合や整理縮小を進めていった結果が、今の非常に弱体な保健所体制ということだと思います。今回の事態を乗り越えたら保健所の強化は必ずやりたいと思っています。」

この他にも区長は、昨日、他会派からのお話にありましたが、ご自身のTwitterで、5月10日に、行政改革によって保健所が統合されたという旨のツイートをしています。

これらの発言から、区長は、現在の世田谷区の保健所体制が、過去の「行政改革」による「統合や整理縮小を進めていった結果」、「弱体な保健所体制」になってしまったと捉えておられるのではないかと見受けられます。

ここで改めて、当時の区の様々な資料や議会での議事録等から、過去の世田谷区としての保健・福祉政策を振り返ってみますと、決してそうではないように私には思えてなりません。

平成10年度策定の「地域保健医療計画」には、

「世田谷区では、平成9年4月地域保健法に基づき、高度専門性に対応する世田谷保健所を開設するとともに健康づくりや疾病予防から保健福祉サービスの提供まで、身近な地域で総合的・一体的に行えるように福祉事務所と従来の保健所の健康づくりの部門を統合再編し、地域ごとに保健福祉センターを開設した。」

と書かれております。

また、平成8年11月の定例会では、当時の区長は、

「保健福祉センターにつきましては、地域行政推進の一環として総合支所の管轄下に置き、総合支所が持つまちづくりの機能とあわせて、保健福祉の分野から二十一世紀の世田谷のまちづくりを推進してまいります。」と発言されています。

世田谷区は、「行政改革」によって保健所の「統合や整理縮小を進めていった」のではなく、むしろ、当時の保健所と福祉事務所の再編により、より身近な地域での保健と福祉の一体的なサービスを提供することで、地域の保健・福祉の充実を目指すとともに、高度専門性の高い世田谷保健所を開設したのです。

区長の一連の発言は、区の足跡にそぐわない、事実誤認ではないでしょうか。

これらの発言は、区長の個人的な見解か、それとも区としての認識なのか、お答えください。

また、先述の区長の5月10日のTwitterで発信されている「保健所の充実と再建」は具体的な内容が示されておらず、何を意味するのか、全く不明です。

改めて、区としてのお考えをお聞かせください。

今後の「世田谷区としての保健・福祉政策」を考える上では、今回の緊急時対応と、平時における「地域の保健福祉の更なる充実」という両方の側面から検討をする必要があります。

世田谷区では、感染が拡大する中で、相談センターの電話がつながりにくいという状況が続いていました。

区長は、先述の対談の中で、

「回線の増強については、相談センターへの電話相談が急増した4月の初めごろから準備を進めていました。」

「民間病院の医師や看護師、保健師などに応援に入ってもらって、現在の回線6本体制を整えるまでに10日近くかかりました。」

と発言しておられます。

ここからわかる通り、今般の緊急時において、「区としての危機的状況に対する対応力」が不足していたことは明らかです。

一方で、平時に目を向けて見ますと、「世田谷区基本計画」の重点政策として、高齢者や障がい者、子育て家庭等の支援を必要とする区民が、身近な地区で相談できるような相談支援体制を全地区で確立することや、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう保健・医療・福祉サービスの基盤の整備や生活支援サービスの充実等を掲げているわけです。

区民の命と健康を守るためには、「緊急時の柔軟かつ適切な対応」と「平常時の地域の保健・福祉のさらなる充実」は両立されなければならないものと考えます。区のお考えを伺います。

次に、「世田谷区の財政と事業見直し」について伺います。

平成20年9月、世界規模の金融危機であったリーマンショックは世田谷区の財政においても大きな減収を招きました。

所管の資料によれば、平成20年から平成23年の4年間でおよそ267億円の減収であったと記されております。

今般の新型コロナウイルスによる区財政への影響については、本年3月の予算委員会における答弁で、区長は、「リーマンショック以上の税収減も想定しなければならない。」との見解を示しておられます。

両副区長による令和2年5月20日付けの依命通達においては、「施策事業のあり方をどう考えていくべきか、本質的な見直しをする必要がある。」と財源不足への強い危機感を持っておられることを評価いたします。

同通達において、今年度の事業費として29億円を超える歳出削減が各部から提案されていることに加え、引き続き、事業の緊縮を強化するとともに令和3年度予算編成に向けた施策事業の見直しを進めることが示されております。

限られた予算の中で、区民生活を守るための業務を維持していくには、残念ながら、これまで行ってきた事業やこれから行う予定であった計画のものも含め、そのすべてを見直し、それぞれの事業と施策に優先順位をつけて、判断していかざるを得ないと考えます。

今般の事業見直しや今後行われる見直しにおいては、例外なく、全ての事業が対象となるという理解でよろしいか、お考えを伺います。

さらに併せて、区にとって最大規模の事業である区役所新庁舎についても、当然、この事業見直しの対象となり、施策の優先順位を判断していく上での俎上にあがるものと考えますが、この理解でよろしいでしょうか。お答えください。

 次に「新型コロナウイルス感染症による区民生活への影響」について伺います。

新型コロナウイルス感染症の影響により、社会は変容し、例えば、感染拡大前に行われていた地域活動等は休止となり、今なお、再開に踏み切ることができないという状況が続いております。

とりわけ、高齢者の方々による様々な活動の休止や感染への恐怖心による閉じこもりは、これまで元気であった高齢者の方々の体力の低下や社会的孤立化を招くことが懸念されます。

元気な高齢者の方々の社会参加や地域活動は、ご自身の健康に寄与するだけでなく、私たち現役世代や子ども達に、かけがえのない知恵や経験、さらには活気をもたらす大変貴重なものであると考えます。

個人の命と健康を守るという観点からも、地域社会を守るという観点からも高齢者の方々の健康を維持しつつ、活動を継続していけるような仕組みを、区としても考えていくべきではないでしょうか。区の今後の方針を伺います。

もう一方で、子どもの生活に目を向けた時に、子ども達の心と体の健全な成長をどのように確保していくかということも考えていくべきです。

新型コロナウイルス感染症により、すでに医療従事者や物流を担う職業の子どもが差別的扱いを受けるなどの事例が発生しています。

どのような状況においても、新型コロナウイルス感染症を理由にした差別やいじめはあってはなりません。

世田谷区は、「世田谷区子ども条例」においても、「区はいじめを防止するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくこと」を区の責務として位置づけております。

世田谷区としては、いじめや差別を起こさないにためにどのように取り組むのか、区のお考えを伺います。

また、新型コロナウイルス感染拡大前と後では子どもが見る地域の風景は異なるはずです。

区の子ども政策として新型コロナウイルス感染症拡大後の子どもの健全な成長を支えるために、区としてどのような方針で取り組むのか、お考えを伺います。

以上で、壇上からの質問を終わります。

【再質問】 

新型コロナウイルス感染症によるいじめを防ぐためにどのように取り組むのか、ということを伺ったのですが、今のご答弁から、特段の取り組みがないということが明確になりました。

健全な育成の確保に関するご答弁も同様ですが、このような危機的状況に際し、従来の計画や枠組みの延長で対応しようとされている危機感の欠如に、子ども達の健やかな育ちが確保できるのかということを強く危惧しております。

そのことを申し上げて、質問を終わります。

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