6月30日、世田谷区議会 区民生活常任委員会の一員として、浜松市を訪問しました。
今回の視察では、地域社会の実情に即した「ごみ減量」・「ごみの資源化」に関する先進的な取り組みについて、お話を伺いました。
「404」への挑戦 ― ごみ総排出量の削減目標
浜松市では、ごみの総排出量削減に向けて「404(ヨンマルヨン)」という明確な数値目標を掲げています。
これは、市民1人あたり1日あたりのごみ排出量を令和10年度までに404グラム以下に抑えることを目指す取り組みで、削減の“見える化”により市民の意識醸成を図っている点が特徴的です。
ごみの発生抑制・分別の徹底・資源化の推進といった多角的な取り組みを、こうした具体的な数値目標に落とし込んでいる点は、世田谷区にとっても大いに参考になります。
使用済み紙おむつの再資源化
特に印象に残ったのは、使用済み紙おむつを再資源化する取り組みです。
高齢化の進行とともに、紙おむつの廃棄量が増えていく現状に対し、浜松市では、洗浄・乾燥・殺菌などを施して再生資源とし、園芸用のフラワーカップ等へ活用する仕組みが構築されていました。
実際に再生されたフラワーカップを拝見しましたが、丈夫で自然な色合いの製品であり、廃棄物から生まれたとは思えない品質で、限られた資源を循環させる工夫と実用性を兼ね備えたこの取組には、大きな可能性を感じました。
📷 フラワーカップ(紙おむつを再資源化して製造)
外国人住民への多言語対応
もう一つ注目すべきは、外国人住民へのきめ細かな情報提供の仕組みです。
浜松市では、在住外国人が約29,000人、人口の約3.7%(2024年時点)を占めており、言葉や生活習慣の違いに対応するため、ゴミの分別ルールも英語・ポルトガル語をはじめとした多言語で丁寧に案内されていました。
実際に手に取らせていただいた多言語のごみの処分に関するガイドラインは、視覚的にも非常に分かりやすく、住民に寄り添う姿勢が随所に表れていました。
📷 多言語対応のごみ処分に関するガイドライン
世田谷区への示唆
世田谷区においても、高齢化や人口の多様化が進む中で、こうした先進事例から学べる点は多くあります。
特に、「ごみの減量・資源化」や「情報発信の多言語化」といった分野は、今後さらに必要性が高まると感じています。
今回の視察を通じて得た学びを、今後の議会での議論や政策提案にしっかりと活かしてまいります。
6月5日、世田谷区議会にて一般質問を行いました。
今回取り上げたテーマは、以下の通りです。
①教育の質を高める学校支援
②高齢者のくつろげる居場所の地区展開
③区民に時間を返す改革と窓口混雑問題
④地域行政推進条例の目指す姿
全文を以下に掲載します。緑色部分を読むだけでも趣旨がつかめるように構成しておりますので、ぜひご一読ください。
(※動画は後日アップいたします。)
(以下、全文)
92万区民の生活を守る基礎的自治体として、区が明確な目標を掲げ、計画を立て、着実に実行し、結果を振り返りながら、次の改善につなげていく。
この積み重ねが、区民の暮らしをより良くしていくための行政経営の基本であり、本来の行政のあるべき姿です。
今の世田谷区は、その基本が守られていません。
以下、このような視点から通告に基づき質問をいたします。 はじめに、「教育の質を高める学校支援」についてです。
おととし、都が実施した教員採用選考における小学校の受験倍率は 1.1 倍、 次年度は 1.2倍と、依然低い水準にあり深刻な状況です。
さらに、本年4月24日の朝日新聞では、昨年度採用した公立学校の新任教諭のうち1年以内に退職した方は 239名にのぼり、過去10年で最も多かったとの報道がありまし た。
採用倍率の低下、若手教員の早期離職の増加による「学校運営の不安定化」と「教育の質の低下」が懸念されます。
こうした中、本年3月に世田谷区教育委員会は、教育の質を高めるための「働き方改革推進プラン」を策定し、その取り組みの一つとして区独自で新人教員の育成の強化と、急 な休職に伴い欠員が出た場合への緊急対応を目的に、「学級経営支援教員」を配置することとしています。
初年度である今年の4月からは、区全体で 4 名、来年度はさらに4名と徐々に増員する計画です。
ところが、課題があります。
先日、 他会派への答弁でもありましたが、4名体制でスタートするはずだった「学級経営支援教員」は、2か月たった今も実際には1名しか配置されておりません。
まず、現在に至るまでの応募状況と応募が来ない実態について、その原因をどのように分析しているのか、教育委員会のお考えを伺います。
併せて、今後の着実な人材確保に向けて、どのような対応策を取られるのか、お聞かせください。
さらに、人材確保がままならない現状を踏まえ、緊急的対策として、新人教員の育成と各学校において欠員が出た場合の学級運営をどのように支えていかれるのか、その対応方 針と具体的対応策について、お考えをお聞かせください。
次に、高齢者のくつろげる居場所の地区展開について伺います。
「くつろげる場所が、身近にあること。」
これは、高齢者の孤立を防ぐうえで欠かせない視点です。
5 年前、令和 3 年度からの高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の検討にあたり、区民や議会からの意見を受け、区が従来から取り組んできた「社会参加や生涯学習」とは別建て で、“くつろぎの場”という文言を計画上に初めて明確に位置づけられました。
これが、世田谷区の高齢者の「くつろげる居場所づくり」の“出発点”です。
区は、これまで議会において、次のような考え方を示しておられます。
「将来的には各地区単位に整備を図っていくことを目標としている。」
「高齢者の身体機能や気軽さも考慮し、より身近な地区での展開が必要と考えている。」
「八年度の地域展開完了を待つことなく、現在の検討を早期に進めながら、地区展開の実現に近づけていく。」
以上が、議会における区の答弁です。
これまでの答弁から、区が地区展開の必要性を認識され、実現に向けて検討されていることは理解いたしますが、地区展開の全体像と各地区における具体的な対応、さらにはこ れまでのプロジェクトチームで検討されてきたその中身と成果が明らかにされておりません。
区として、今後の地区展開の全体像と各地区における整備スケジュールを明らかにし、地区展開を着実に前に進めるべきと考えます。
区のお考えを伺います。
次に、区民に時間を返す改革と窓口混雑問題について伺います。
4年前の第2回定例会で、保坂区長は、自ら「区民に時間を返す改革の実現」を表明し、その年、世田谷DX推進方針を策定し、選管組織を立ち上げ、窓口やサービスの在り方を見 直して、申請や手続等の合理化を進め、区民に時間を返す、と言われました。
さらに、2年前、自民党のおぎの議員との質疑の中で、区長は「むこう2年かけて待たない窓口を実現する」と表明されました。
他方、窓口の担当部門は、昨年 9 月の特別委員会で、区長が待たない窓口の実現を掲げた令和 6 年度末の混雑期のくみん窓口の平均待ち時間について、前年の 33 分から、3 分短く するという目標を示されました。
区長は、待たない窓口を掲げる一方で、担当部門は 3 分だけ短くするという目標を掲げる事自体、満足なものとは思えませんが、先月 5 月 23 日の特別委員会では、6 年度末の混 雑期平均待ち時間が、「33 分」から「48 分」に、15 分増加した、との驚くべき報告がなされました。
区が、 区民に時間を返す改革を行っているはずなのに、 実態は「区民の時間を奪う結果」となっている、ということです。 これは、リーダーシップの問題です。
「区民に時間を返す改革」について、年次別計画や目標数値等を、区民・議会に明らかにし、実効性のある改革にすることが、トップの責任だと思いますが、お考えを伺います。
最後に、地域行政推進条例が目指す姿について伺います。
令和4年に議決・施行された地域行政推進条例では、まちづくりセンターが、区民生活を包括的に支援する地区の行政拠点として、多様な相談及び手続きに対応する窓口を担うことが基本方針として定められています。
区民が歩いて行ける範囲で相談や手続きができる、困りごとも地域活動も、まちづくりも、身近な場所のまちづくりセンターが受け止めてくれる、これが、条例を機に創り出されるは ずの、区民から見た新しい世田谷の地域行政の姿です。
区長は、かつて議会で、就任当初、車座集会で、当時二十七か所あった出張所・まちづくりセンターを回り、 「これはもったいない、宝だと思った」と言われました。
その宝たるまちづくりセンターを区役所の最前線としてフル活用するために、区の行政全体を改革していく、これが条例制定の意義です。
ところが、先月、5月23日の特別委員会において、区は「まちづくりセンターで担う業務は、まさに地域のコミュニティ強化していくことがメインミッションだと捉えている。 出張所や区民窓口、要は事務手続のところについてはどう区内で効率的に運用していくのが 区民にとってよりプラスになるかというふうに若干別に考えている。」との認識を示さ れました。
先に申し上げた地域行政推進条例では、 「まちづくりセンターは、区民からの多様な相談及び手続きへの対応の強化を図るものとする。」、「まちづくりセンターは、情報通信技術 を活用し、相談、手続等の行政サービスの充実を図るものとする。」と定められています。
区のご認識は、条例の趣旨を踏まえているのでしょうか。
残念ながら、区の姿勢は条例軽視と言わざるを得ません。 条例の基本理念に立ち返り、区としての認識を改めるべきです。
区のお考えを伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
【再質問】
教育については、真摯なご答弁を頂いたものと受け止めております。
是非とも世田谷の子 ども達のためにここは乗り越えて頂きたいと思います。
宜しくお願いいたします。
高齢者の居場所については、これまでの答弁から一転して、方針転換を図るという趣旨に も受け取れますが、これは到底、認めらません。
打開策がないから方針転換をするというのは、あり得ないことです。
議会でのこれまでの議論、 そして、 答弁の積み重ねを軽んじることは、議会軽視であり、 あってはならないことです。
考え直すべきです。
区民に時間を返す改革と、地域行政に関する区のご認識について、 通告し、質問したことに対して、お答え頂いておりません。
区民に時間を返す改革の年次別計画と、条例に基づいた地域行政に対する区のご認識について、責任者である担当副区長のお考えを改めて伺います。
【再質問の答弁を受けて】
待たない窓口を実現すると言われ、待ち時間が増加する。
まちづくりセンターの相談手続を強化すると言われ、それは別だと言われる。
高齢者のくつろげる居場所の地区展開が必要だと言われ、それは難しいと言われる。
残念ながら、これが今の世田谷区です。
区民に対する約束を守る。
これは区民の生活を守る基礎的自治体としての責務です。
高い目標を掲げ、全職員の理解、納得、協力を得て、その目標を実現させること、これがリーダーの役割だと、私は思います。
以上で、質問を終わります。
本日、世田谷区議会区民生活常任委員会にて、「米流通価格、流通量の安定化及び米を含む食料品価格(物価)高騰対策に関する陳情」が審査されました。
この陳情は、全国的にお米の価格が高騰する中で、区として何らかの対策を講じてほしいという切実な訴えです。
実際に主食である米価の上昇による区民生活への影響は計り知れません。
つるみけんごは、以下のように質疑と意見表明を行いました。
【委員会での質疑】
つるみけんご:
世田谷区としては、せたがやPayを使った物価高対策を行っているというご説明だったかと思います。
ただ、陳情者のご趣旨としては「お米の価格を安定的に引き下げてほしい」という点にあると受け止めています。
お話を伺っていて感じたのは、やはり実際の区民の生活実態からすれば、お米の価格が依然として下がっておらず、また、せたがやPayの活用や推進策と、日々の暮らしの中で感じるこの問題とが、区民の目線からはうまくリンクしていないのではないかということです。
担当部門として、せたがやPayの新たな活用や、さらなる工夫も含めて、お米の価格に対してどのようなアプローチが可能とお考えでしょうか。
担当課長:
委員のおっしゃる通り、せたがやPayという制度は、お米に限定した仕組みにはなっておりません。
例えば「お米を買った人にポイント付与をする」といった仕組みは、現時点の制度上、難しいのが実情です。
店舗ごとに対応することは可能ですが、その場合もお米以外の商品にもポイントが付いてしまうため、限定的な運用ができません。
したがって、現時点の制度では、せたがやPayを用いてお米だけを対象にするような施策は難しいというのが現状です。
以上でございます。
つるみけんご:
わかりました。では、せたがやPay以外の手法も含めて、お米の価格に関して区として何か取り組みを考えていることがあれば、今後の見通しも含めて教えていただけますか。
担当課長:
現在は、国においてさまざまな対策が講じられていると聞いております。
生産、流通、消費といったそれぞれの段階で、国が現在いくつかの取り組みを行っている状況ですので、
まずはそうした国の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
【意見表明】
つるみけんご:
主食であるお米の価格が、ほぼ倍増している現在の状況は、区民の家計に非常に深刻な影響を与えています。
そのような中で、区が基礎的自治体として、何らかの対策を講じるべきではないかという陳情者の趣旨は、十分に理解できるものです。
確かに、国の動向を注視することも重要ですが、生活者に最も近い自治体として、区民生活の実態を正確に把握し、必要であれば迅速な対応を検討することが求められていると考えます。
こうした観点から、本陳情については継続的に審議を進めるべきだと判断し、継続審査をお願いしたいと思います。
その後、各会派の委員からの意見表明が行われ、本陳情については継続審査とすることが決定されました。
【おわりに】
物価高の影響はすべての家庭に及びますが、特に主食である「お米」の価格高騰は、日々の暮らしに直結する問題です。
特定の所得層だけでなく、子育て世帯や共働き世帯、高齢者世帯など、幅広い層の生活に影響を与えています。
「主食が手に入らない」――そんな切実な声に、私たち自治体の議員も応えていかなければなりません。
これからも、区民一人ひとりに寄り添う政治の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。