令和6年第1回定例会一般質問

本日は、区議会本会議の一般質問に立ちました。

質問の内容は以下の3点です。

1. 本庁舎等整備の延伸問題と区の対応について

2. 災害発生時の対応と地域行政について

3. 認知症行方不明者の命を守る対応について

以下、少し長くなりますが、質問の内容を詳しく記載いたします。

※質問に至るまでの説明を含みますので、質問部分のみお読みになりたい場合は太字部分のみお読みください。

まず、本庁舎工事をめぐっては、契約の相手方の施工計画の不十分な検討が原因で工期に大幅な遅延が発生しました。

この遅延について、 世田谷区の区長は昨年 9 月8日の記者会見で、工期延伸に係る違約金と損害賠償について、「1 つ目が遅延違約金、2 つ目に技術提案の不履行に伴う違約金があります。3 つ目には 工事遅延により実際に生じる損害賠償、4 つ目に目に見えない逸失利益があります。」と言われました。

区長は、「実際の損害額」と「目に見えにくい損害」を分けたうえで、2つの「違約金」とは別建てでこれらを相手方に求めていく姿勢を明らかにしていました。

現在、区は契約の相手方との違約金・損害賠償等の和解のための合意案を議会に提案しています。

詳細は省きますが、その中身は当初区が主張していた内容と比較しますと相違があるように思います。

この延伸問題は、区民のみならず社会的な関心も非常に高く、公共施設の重要性とその工期が遅れることの影響の大きさを鑑みれば、区の基本的な考えをその都度、丁寧に、 区民・議会、社会に示すことが区の責務であるはずです。

今回の和解案での合意を判断したその根拠を、区民・議会にわかりやすく示す必要があると指摘し、 区の見解を問いました。

先月15 日に開催された臨時の特別委員会においては、各会派から様々な指摘や問題提起 がありました。

具体的には、目に見えない損害の金額をどう数値化していくのか、遅延がなければ本来得 られたはずの委託先等で働く人の対価についてどう考えるか、災害や感染症など公共が担 う社会課題への対応に対する遅延の影響度合いについて、区長が交渉に出てこないことへ の疑問、損害賠償額の双方の規模観のすり合わせについて、などです。

区の責務として、議会から区へ投げかけられた疑問・意見を一つ一つ丁寧に解消していく ことが必要と考えます。このことについて、区の見解を問いました。

次に、「災害発生時の対応と地域行政」についてです。

先日の特別委員会では、「世田谷地域防災計画」の修正方針(案)として、国や都の計画の修正等を踏まえた見直しに加え、「世田谷区地域行政推進計画等の取り組み」を反映することが示されました。

世田谷が誇る、全国唯一の取り組みである「地域行政」(※区内の行政組織を本庁ー総合支所ーまちづくりセンターの三層に分けた世田谷独自の行政構造のこと)は、一昨年ついに条例化がな され、これにより、区民に最も身近なまちづくりセンターは、条例上「区民生活を包括的に 支援する行政拠点」として位置付けられました。災害時には「地区の頼れるリーダーとしての役割」を果たすことが期待されています。

今回の「世田谷区地域防災計画」の修正は、令和4年10月に地域行政推進条例が施行されて以降、初めての修正となり、世田谷独自の地域行政を災害対策にどう活かすか、区民の命を守るためにいかに活用するかという重要な改定です。

今後、地域行政推進計画の取り組みを、地域防災計画の修正にどのように反映するのか、区の具体的な考えを問いました。

現行の「世田谷地域防災計画」では、「まちづくりセンターは、拠点隊として被災状況等の情報収集を行う」ことが規定されています。いざという時にまちづくりセンターが拠点となり、地区の被災情報のとりまとめを担うことで、地区内の区民の命を守り、皆様に安心して頂くことが、「地区の行政拠点」たる役割であるはずです。

現在、まちづくりセンターはあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、児童館と の4者連携の強化を推進していますが、地区にはその他にも保育施設や幼稚園、高 齢者施設や障害者施設、町会や自治会、消防団など様々な施設・団体があり、いざ災害となれば、この地区内のコミュニティの中で、相互に助け合うことが求められます。

災害時の初動体制の強化には、各施設・各団体との通信手段や連絡体制をあらかじめ 想定しておくことが不可欠です。

災害発生時の地区における各種施設・各団体との通信手段や連絡体制の確保など、地区での災害発生時の対応のあり方について、区としてどのように整理しているのか、併せて、能登半島地震の事例から土日祝日など閉庁日の対応も含めて、拠点隊の活動の実効性をどのように担保しているのか問いました。

最後に、「認知症行方不明者の命を守る対応」についてです。

警察庁の資料によれば、認知症で行方不明になった方の人数は2022 年、全国で 1 万 8709 名、この 10 年でその数は2倍近くに増加しています。

残念なことに、そのうち行方不明中にお亡くなりになられた方は491 名です。

区資料によりますと、直近三年間の世田谷区内の警察署における認知症又はその疑いがある方の行方不明者届出の件数は、年平均で約 62 件です。

世田谷区内において、認知症行方不明者の方が、事件・事故等に巻き込まれたケースや命に係わる重大なケースがあるか、区内の実態について伺いました。

先日の福祉保健常任委員会では、認知症高齢者等の行方不明発生時の新たな対応策として、24時間365日対応可能な「世田谷区高 齢者安心コール」と区の「災害・防犯情報メール配信サービス」の活用を図るとの方針が示されました。

この取り組みについて、夜間や休日等を含め、どのように具体的に対応していくのか、庁内体制の整備状況等について区の取り組みの現状を問いました。

令和元年10月の決算特別委員会では、世田谷区内における認知症行方不明者の状況について伺いました。

その際の答弁によれば、ご家族から広域的に情報を流してほしいと区に相談があった際に活用する東京都の 「情報提供システム」の活用件数は、平成30年度には6件あり、そのうち1名がお亡くなりなられ、もう1名は発見されたが残念 な結果だったとのことでした。

命を守る行方不明者捜索体制の整備の必要性が改めて浮き彫りとなった答弁でした。

過去の区内における悲惨な事案も踏まえ、行方不明者の捜索体制について警察や民間企業、その他の地域資源等との連携等も含め、今後の充実について区の基本的な考えを問いました。

以上が議場からの質問の内容です。

区の答弁については、また別の機会にご報告のチラシの中でご紹介したいと思います。

なお、本庁舎整備についての今回の区の答弁は、区民の皆様にわかりやすいものであるとは 私は思えませんでした。

区長が 昨年9 月の記者会見で、区民に向けてご説明されたことは、2つの違約金に加えて、「実損」と「目に見えない逸失利益」を求めていく、という非常にわかりやすいものだったと思います。

ですが、この間の議会のやりとり、他会派のへの答弁等を拝見し、当初、区長が言われた ことがどうなったのか、なにかブラックボックス化しているような、判然としない印象がぬぐえません。

このような状況で、議会として和解案の議決に向かわなければならないというのは、区民 の代弁者たる議会の一員として、非常に判断しがたいものがあると感じています。

区の一連の対応については、区民の皆様にご理解いただくという基本的姿勢が足りてい ないのではないかと、残念に思っています。

答弁のあとに、以上のことを申し添えました。

和解に関する議決の採決は3月1日に迫っております。

十分に考えて区議会議員としての責務を果たしてまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

つるみけんご