6/13定例会 一般質問に立ちました

 令和元年6月13日に行われた世田谷区議会第二回定例会本会議において、世田谷区議会議員として初めての「一般質問」に立ちました。
 一般質問では、議員が区に対して、施策の現状や方向性等を問うことにより、施策の内容を明らかにするとともに変更や是正を促し、また、政策の提案を行い新規政策の展開を目指すことで、より良い世田谷のまちを作っていくことを目的に行います。
 以下に、この度の「つるみけんご」の一般質問の全文とそれに対する区の答弁の要旨を記載いたします。

【一般質問全文】

 Setagayaあらたのつるみけんごです。
 この度、区民の皆様の信託により、区議会議員として初めてこの場に立たせて頂きます。
 91万人を超える区民の皆様の生活の安全を守り、子ども達の未来とすべての人に生きがいのある世田谷を作るために邁進して参ります。
宜しくお願いいたします。

 それでは、早速、通告のとおり質問いたします。
 最初に「子ども・子育て支援」について二点伺います。
 
 一点目は、「貧困・格差対策」についてです。
その国の貧困格差を表す指標である「相対的貧困率」や「子どもの貧困率」は、昭和から平成の時代を経て、残念ながらいずれも上昇しております。かつて一億総中流と言われた我が国において、徐々に、そして確実に格差が拡大していることに大きな不安と懸念を抱いております。
 私は、貧困・格差対策における行政の重要な役割は、「貧困の連鎖」を断ち切ることであると考えます。そのためには、子ども達に教育の場を通じて、「学ぶ」ということの重要性に気付いてもらうこと、そして、その上で将来的な自立を促すことが重要だと考えます。
 私は中学生の時に父親を病気で亡くしました。しかし、素晴らしい先生方や周囲の方々に恵まれ、励まされ、「学ぶ」ということに対する考え方の変化のきっかけを与えて頂きました。
 子どもというのは本当にわずかなきっかけで、前向きになれたり、人生を新しい方向に切り拓いて行けたりするものです。
 世田谷区としてもこうした認識を持って、施策を前に進めていくべきと考えます。
 さて、現在、世田谷区が取り組んでいる一人親家庭・生活困窮世帯の小・中学生を対象にした学習支援事業の「かるがもスタディルーム」について伺います。
 この事業では、勉強を教えるというだけなく、子どもの居場所づくりという側面も有し、学習習慣の定着と勉強への苦手意識の克服を目指しているということですが、その中に先ほど申し上げたような「学ぶ」ということへの意識の変化や物事に前向きに取り組むきっかけ作りをするというような意図も含まれているものと考えておりますが、この認識でよろしいでしょうか。
 また、現状、そのような事業になっているのか、区としてはどのように評価されているのか、お考えを伺います。
 また、この事業の利用者登録者数は、平成28年度は94名、平成29年度は90名、平成30年度は77名と、ここ3年間で徐々に減少しています。
 施策の目的は素晴らしいものでありますが、なぜ減少しているのでしょうか。手法と利用者の要望に乖離が生まれつつあるのか、ご見解をお聞かせください。
 平成30年度に区が実施した「子どもの生活実態調査報告書」によると、こうした無料学習支援があることを「知らない」と答えた子どもが実に8割を超えています。
 その一方で、こうした制度を「使ってみたい」という子どもはおよそ3割に上っています。
 この結果より、支援を受けたい意向はあるにも関わらず、支援制度そのものが認知されていないことが見て取れます。
 区としては、より一層の周知が必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。
 事業の積極的な見直しも含め、区のご見解と今後の対策をお聞かせください。

 二点目に、「保育園の待機児童対策」について伺います。
 今年度4月時点での待機児童数は470人で、前年度486人から16人減となりました。区長はこれに対し、招集挨拶の中で、待機児童数は「微減」という表現を使っておられましたが、私はこの言葉に違和感を感じます。ほぼ横ばいというべきではないでしょうか。
 今年度は、平成27~31年度の5カ年計画である「子ども・子育て支援事業計画」の最終年度でありますが、当初今年度末までに見込んでいた定員数21,584人の定員はすでに達成困難として、計画を下方修正した経緯があります。
 こうした中、区長の招集挨拶で「あらゆる手法を通じて待機児童解消を確実に実現できるよう、担当所管に指示をした」と仰っていましたが、具体的にはどのような手法で、待機児童の解消を実現するのか、現時点での待機児童数や需要量の増加見込みを勘案して、待機児童数ゼロの達成の見込みが立っているのか、ご見解をお聞かせください。

 では次に、「認知症対策」について伺います。
 認知症対策は言うまでもなく、今後ますますの高齢化が見込まれる日本にとって、社会全体の課題として取り組むべき重要課題です。
 現在、世田谷区では介護保険を利用されている方で、認知症の症状がある方がおよそ2万3千人いらっしゃいます。今後のさらなる高齢化で認知症の方はますます増える見通しであり、区が制定を検討している「(仮称)世田谷区認知症施策推進条例」につきましては、早い段階での制定を目指していくべきと考えます。
 一方で、今の世田谷区の認知症対策については、様々な施策がありますが、今ひとつ「認知症を予防する」という視点が十分でないように感じております。
 一部介護予防の一環で認知症予防を行っていると所管の方からのご説明を頂きましたが、本当にこれで認知症の予防として十分だといえるのでしょうか。予防の重要性について、区としてのお考えをお示しください。
 また、予防の一つの例ではありますが、国立長寿医療研究センターでは、認知症の予備軍といわれるMCIの段階で、計算やしりとりをしながら体を動かす「コグニサイズ」という運動を行うことで、認知機能の低下を抑制することが明らかになったと発表しており、その運動の普及に努めています。
 区としてもこうした「認知症の予防」の強化が、今後より一層重要になるという認識をしっかりと持って頂き、新しく制定する「(仮称)世田谷区認知症施策推進条例」には、「認知症予防の強化」を盛り込んでいくべきと考えます。区のご見解をお聞かせください。

 また、認知症対策についてもう一点伺います。
 私もつい先日すぐ近所で、認知症で道がわからなくなり家に帰れないという女性に遭遇しました。結果として、近所の方々と連携し、無事お宅にお帰り頂くことができたのですが、改めて認知症対策では、地域で見守ることの大切さを実感しました。
 全国的に各自治体で実施されている「認知症サポーター養成講座」は、認知症になっても住み慣れた地域で安心して生活できるまちづくりのため、「認知症サポーター」という認知症の方の見守り役を増やすことを目的とした、重要な講座だと考えております。
 そこで、「全国キャラバンメイト連絡協議会」が発表している講座の実施状況から、人口当たりの認知症サポーター数について、私が自治体別に計算をしてみましたところ、その結果に非常に驚きました。
 世田谷区は人口当たりの認知症サポーター数が、23区の中で下から3番目という結果であり、他の区に比べて人口当たりのサポーター数が少ないことがわかりました。
 そこで伺います。区としては、なぜ世田谷区の認知症サポーター数が、他の区と比較して少ないとお考えでしょうか。
 日頃、地域での活動を通じて街の方の声を聞いていても、世田谷区の方が他の区の方に比べて認知症に対する危機感が薄いとはとても思えませんが、区として、この現状をどのように捉えてらっしゃるのか、また、今後より多くの方に受講して頂くためにどのような工夫をしていくのか、具体的な方策をお示しください。
 
 次に、「災害対策」について質問いたします。
 東日本大震災から8年が経ちましたが、その間も熊本県・北海道で震度7の大地震が起こりました。さらに、東京都を巻き込むような首都直下型地震が30年以内に、70%程度の確率で起こるとも言われております。
 世田谷区においては災害対策として様々な防災訓練を行っており、その中でも近年は自助・共助の強化に軸足を置いた「避難所運営訓練」の実施に力を入れていると所管からご説明を頂きました。
 しかしながら、その一方で、地域の単位で行う「地区防災訓練」については、本来、防災計画において実施することになっているにもかかわらず、実際には、地域によって実施出来ている地域と、出来ていない地域があります。
 地区防災訓練は、避難所運営訓練とは、目的が異なるはずです。
 実際に震災が起き、自宅等が危険になったら、まずは、いっとき避難所に避難し、さらに必要に応じて広域避難場所に避難します。そこで火災などが落ち着いたとしても自宅で生活することが困難あるいは危険である場合には、一時的に避難所で生活をする、という流れになります。
 これらの一連の流れや、避難する過程で何を注意すべきか、どう地域の人達と連携するのか、一人でも多くの方にご参加いただくことで、地域全体でその理解を深めていくことが、「地区防災訓練」の重要な役割だと考えます。
 地域によっては、防災の担い手不足や高齢化など様々な事情で実施出来ていない地域があると伺っておりますが、そうした地域の実情を踏まえながらも、多くの方にご参加頂ける「地区防災訓練」を、各地域で実施できるよう工夫していくべきです。
 区として、防災訓練の現状をどのように認識しておられるのか、また、今後の対策と取り組みについてご見解をお聞かせください。

 以上で、壇上からの質問を終えます。

【世田谷区側の答弁】※一部抜粋
①子どもの貧困対策について
 学習支援が必要な子どもに情報が届くよう、今までの周知方法のほか、ひとり親手当の窓口でのPRの充実や、教育委員会とも連携してPRに取り組むなど、工夫を行ってまいります。また、参加者減少に対する他の要因の分析も進め、子ども計画第2期後期計画の策定を見据え、子どもたちの多様な学習支援のニーズに対応できるよう検証や検討を進めてまいります。

②待機児童対策について
 特に保育施設整備の進んでいない世田谷・北沢地域において待機児童が多い状況となっております。今後につきましては、来年度の待機児童解消を確実なものとするため、こうした地域の整備を加速させるための対策を早急に検討してまいります。

③認知症対策について
 今後の、条例制定に向けた検討では、国の動向を勘案し、予防についてもご本人やご家族のご意見をいただきながら、条例検討委員会の中で検討するとともに、議会において議論を重ねてまいります。認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、世田谷らしい条例の制定に向け、引き続き取り組んでまいります。
 今後も、認知症サポーターの養成とサポーターの活躍の場を拡充しながら、認知症に関する正しい普及啓発を図り、認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、取り組んでまいります。

④地区防災訓練について
 今後は、地域・地区の状況に応じた地区防災訓練をはじめとした地域防災力の向上に資する取組みを総合支所、まちづくりセンターや消防署等関係機関と連携し、更に促進してまいります。

【答弁に対して「つるみけんご」より最後にひと言】
 いずれの対策も急務ですので、より一層のスピード感を持って取り組んでい頂くようお願い致します。

以上です。
長文をお読み頂き、誠にありがとうございます。
今回の質問への答弁を受けて、今後の区の対応等をしっかりと注視し、実効性のあるものになるよう働きかけて参ります。

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